アップデート 12月10日
*Beyond Time and Space シリーズの作品リストを別ページにアップしました。
“Cry for Love”の一部 は12月末までカリフォルニアの Las Laguna アートギャラリーで展示されています。
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Misako OBA個展 LOVE: Beyond Time and Space
ルーニィ247 Fine Artsギャラリーでの本展は、Misako OBAのアートシリーズ Truth in Emotion “Beyond Time and Space” (和訳:感情の真実 〜時空を超えて〜)より、日本国内未発表 (海外でも発表をほとんど控えていた)の作品群 Part1の Cry for LOVE を中心に、多くの新作を含むPart2のLIFEや以下のシリーズの一部も交えて、50点以上の作品を展示し紹介。
蜜ろうを使った古典技法エンコースティックの現代適用で、日本ではまだまだめずらしい技法のアートです。
Part 1: Cry for LOVE – What Women Feel –
Part 2: Cry for LIFE
Part 3: Four Seasons
Part 4: Cry for LOVE – What Men Feel –
子供の頃、深い意味を考えず単純に暗記したり、カルタ遊びをしたりした百人一首を、人生経験、人生の波瀾万丈を経て、アメリカで改めて歌の意味とともに読む機会に恵まれたとき、当時(7世紀〜13世紀平安時代)の日本人男女が、こんなに情熱的な想いを内に秘めていたり、それを絶望的、直接的、あるいは巧みに婉曲して和歌で表現したりしたのかと、驚愕にも値するぐらい驚き感銘を受けた。果たしてどれくらいの日本人がその事実や意味内容を知っているのか。
と同時に、人間が人を愛して切ない想いをしたり苦しんだり、また社会や老いに悩んだりすることは、時代(時間)や場所(国境)を超えて、まさに共通する普遍的なものであることを目の当たりにし、実感としてもひしひしと感じた。いつの時代も、生ていると直面する同じようなことで喜び嘆き、あるいは思い煩うものだと、改めて認識した時にこのシリーズが生まれた。
百人一首には、また人生のはかなさ、虚しさを嘆いたり、春夏秋冬の自然の美しさに思いを馳せ詠まれた歌があるので、自分なりに分析・理解しつつ、カテゴリーに分けてみたことが制作のきっかけにもなった。特に近年はまるで百人一首の時代のように、恋のかけひきや日常のやりとりも、電話よりメッセージを「書いて伝える」という行為が多く、必要な時代になった。
本展 [LOVE: Beyond Time and Space] では、私たちの感情や行動をも左右する「愛と人生」をテーマに、日本と海外、古代と現代、同じ人間として共通するものはなんなのか、先入観の危うさ、感情、思考、思想、価値観、人間の性(さが)を探り、この世での人生とは何か、今、あなたは愛をどう感じ、表現するのかを問いかける。
「時空を超えて」のコンセプトを反映すべく、作品の中で日本のものに見える桜や鳥居、松、竹、また月なども、元写真は意図的に、国外(アメリカ、カナダ、韓国等)で実際に暮らしたり長期滞在した場所で撮影したものを蜜蝋のエンコースティックに転写し入れ込んでいる。架空の絵を描くだけではなく、我々が生きる現代に実在しているものを入れることにも意味を感じている。
時間軸として、古典的な素材(百人一首の歌や平安時代の文字や画、墨、古典技法の蜜蝋のエンコースティック)及び、現存する21世紀の素材(実存する人や場所の写真や、コンピュータ言語、デジタル技術など)の両方を使用し、空間軸として、自分が生まれた日本と、長年の生活の拠点、米国あるいはゆかりのある地を中心に海外の素材を取り入れ、古今東西新旧両方の技法と要素をひとつの作品に織り込んでいる。
今回の個展作品すべてに使用されているエンコースティックは、蜜ろう・天然樹脂・顔料から成り、紀元前の古代ギリシャ時代からの古典画材。そのエンコースティックの現代適用で、電気ヒートパレットで溶かした絵具を使って、ヒートガンやガスバーナーで層を重ね定着させる技法。
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🔸Part 1: Cry for LOVE – What Women Feel –
「クライ・フォー・ラブ (愛を求めて 〜オンナの気持ち〜)」
小倉百人一首の中で、女流歌人が書いた「恋の歌」のみを選んで、疑似体験をするかのように感情移入しつつ制作した作品群。全20首、うち3首は男性が女性を装って女性の気持ちとして詠んだ歌も含む25点のパネル作品を紹介。
(25点の木製パネルにエンコースティックミクストメディア+ アクリル板にフォトエンコースティック3点)
🔸Part 2: Cry for LIFE
「クライ・フォー・ライフ (人生の悲哀と希望)」
百人一首から人生に関する9首(#34, #83, #84, #66, #11他) に関連した作品を展示している。
1.5メートル近くの木製パネル3点組の大型作品 “Cry for LIFE I – Lamentation” の3パネルのうち、米国にある2パネルを除いた1パネルの展示ほか、2023年の新作、Works on Paper (巻物・反物風の作品)を掛軸や衣桁にインスタレーションし紹介。
興味深いことに、日本の古典、百人一首の中の人生の歌は、人生の悲哀、人生を嘆く歌のなんと多いことか、ほとんどが、この世に生きることの嘆きである。これらの日本の古典和歌の人生がテーマの内容はほとんど全てが悲哀、この世での嘆きである。そして欧米の古典でもある聖書の中には、同じように人生直面する虚しさや嘆きもあるが、その先のその答え、解決策が既に書かれていたことを発見。そしてそこには「希望」があった。
今夏制作の反物風作品”Time for Everything”のインスタレーションや、掛軸をフレームに見立てたWorks on Paper は、裏と表の表情が違う「エンコースティックモノイプ(版画技法)」で、一点物抽象画に仕上げた。
「エンコースティックモノタイプ」はヒートパレットの上に絵具で描き、溶けた絵具あるいは溶けつつある絵の具を紙の上に移しとっていく。パレットの温度や瞬間瞬間で絵具は動き、様々に変化する。この手法はある程度はコントロールできるが、完全にはコントロールできない。
長い紙に辛抱強く色をのていく過程で、予期せぬハプニングも起こる。困難・苦難もあればハッピーアクシデントもある。まるで人生のジャーニーそのものである。
同新作では、百人一首の人生の歌に加え、奥義を語る聖書の中の『Lamentations(哀歌)』や、この世のすべてを「虚しい」と説きながらも、何事にも時があり、さらには生きる目的の結論を導き出している『Ecclesiastes(コヘレトの言葉)』を念頭に置きながら作品を制作した。
また現代社会のSDGs を意識し「創造的再利用」にもなるアンティークの掛軸をいわゆる「フレーム」・Beyond – 向こう側をのぞける窓にも見立て展示する。十字にも見えるため、そこにも西洋ではよく知られている「愛の象徴」を表現している。
-木製パネルにエンコースティック・ミクストメディアの “Lamentation” の一部と “Journey.” 2015年〜2017年
–Works on Paper|無酸性和紙にエンコースティック・ミクストメディア: 巻紙風、掛軸に. 2017年〜2023年
–Works on Paper|無酸性アート紙、和紙にエンコースティック・モノタイプ、コラージュ: 反物風) 2023年
🔸Part 3: “Four Seasons
「フォー・シーズン (四季)」
百人一首の中で、四季に関して詠んだ和歌を集めてそれぞれ作品にしたもの。
実際の季節の中での気づきや感情を詠んだ歌だが、単なる実際の春夏秋冬の景色でなく、人生におけるシーズン、良い時もあり、悪い時もあり、生きていく中で種まきの時もあり、穫り入れの時もあり、それぞれの時があり、時季は過ぎ去ることも念頭においている。
本展では、夏・秋・冬を展示。夏の全4首が入った1作品、秋の和歌は非常に多く、全16首ある中から4点組1作品と、30.5cm四方の2作品を紹介。全6首の冬は、縦約87cmと30.5cmの大小、各2点組、(売約済みを除いた) 全2作品を展示。
🔸Part 4: “Cry for LOVE – What Men Feel –
「クライ・フォー・ラブ (愛を求めて 〜オトコの気持ち〜)」
百人一首の中で、男性歌人が作った「恋の歌」に焦点をあてた作品を今後制作予定。
男性は、一般的に感情的になったり表現するのが女性よりも少なかったり苦手といわれることがある。バイアスでもあるが、それを反映し、服を脱いだとき、より無防備に、素直になる…あるいは本当の気持ちも出やすいということを取り入れて、撮影も含め作品を制作していく。さらに民族・国籍を問わず絵の中に登場させることで垣根をなくしている。今回は予告編スニーク・ピークとして。2点を展示。
また関連のアーティスト・ブックも展示します。
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From the series Truth in Emotion, Beyond Time and Space. 25.5 x 12 x 2 inch (64×30.5x5cm), 2点組もしくは 上に2点加えて4点組アートにも.
👆Download the PDF – Gallery info for Misako OBA solo Exhibition 2023 (Japanese Postcard back)
Misako OBA solo exhibition 大庭みさこ個展
Love: Beyond Time and Space
■レセプション Reception 🍷🎉
10月14日(土)18:30-19:30
どなたでもお越しいただけます
■会期 2023年10月9日 (祝)〜10/22(日) 12:00 – 19:00
10月16日休廊 最終日は16:00まで
■場所:Roonee 247 Fine Arts
ルーニィ247ファインアーツ ギャラリー (空港や東京駅からのアクセスも良いです😃)
〒103-0001 東京都中央区日本橋小伝馬町17-9 さとうビル4階
https://www.roonee.jp
TEL: 03-6661-2276
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