Faust and FAUSTUS, movie review 「ファウストス」と映画『ファウスト』

After the Devil wants Faust to sign the pact with blood, Faust complains that the devil does not trust Faust’s word of honor. In the end, Mephisto wins the argument, and Faust signs the contract with a drop of his own blood.     —Goethe’s Faust

In folklore, an individual may make a pact with the devil, usually signed with their own blood. The pact involves loss of a part of the individual, the soul. But in Misako Oba’s case, it was the possibility of losing something else, and Goethe’s Faust became a metaphor for her experience in the 21st century.

Oba’s photography explores the battle between an angel and a devil in her heart, as she deals with the emotional turmoil of a medical mystery. The photographs recount her reactions from despair, confusion and fear, accompanied by blood and tears, to defiance, a positive spirit and redefined beauty.

This series is a visual statement of a true physical, emotional and spiritual journey that anyone might be called upon to make.

This is about my FAUSTUS series (photographic series 2006-2011, 2014. Photo-based mixed media contains).
*The photography book/artbook [FAUSTUS] was published in November 2014 in Japan.

The title FAUSTUS was inspired by Goethe’s Faust. Faust, the main character, exchanges his soul with the devil by signing a pact with a drop of his blood. The cost of my pact was my finger. There were the battles of an angel and devil in my heart, but finally leading to a contract with the angel.

* Faustus means “auspicious” or “blessed” in Latin.

Misako OBA, “Pactum#20-III,” from the series FAUSTUS.

ドイツの文豪ヨハーン・ヴォルフガング・ゲーテの戯曲 『ファウスト』には、悪魔がファウストに、契約書に血で署名をするよう求めると、ファウストは、自分の言葉を悪魔が信用していないことに不満をもらす。しかし、結局悪魔メフィストが議論に勝ち、ファウストは自分の血の滴で契約書に署名をする。というようなくだりがある。

古代の伝承によると、悪魔との契約は、通常、体の一部と引き換えに、契約者本人の血でサインをして結ぶという。『ファウスト』の主人公は、至極の快楽を求めて自分の魂と引き換えに悪魔と血の契約を結んだ。しかし、私大庭みさこの場合、何を求めたわけでもないのに、右手の小指と引き換えに血の契約を結んだのである。心の中では、天使と悪魔とが闘いつつ、最終的に契約を交わしたのは「天使」とだった。

それが、「FAUSTUS(ファウストス)」という一連の作品シリーズとなった。私自身が2006年から数年に渡って制作し、これまで米国で発表してきたこの写真作品シリーズは、実体験ととともに、コンセプトにゲーテの『ファウスト』を絡めている。

When I heard about the movie FAUST (2011 Russian film directed by Alexander Sokurov. The dialogue is in German), I became curious to see it. It is the director’s free interpretation of German legend Faust and the adaptation of Goethe’s Faust.  As long as I know, there is no theater playing it in the U.S as of today.  I had a chance to see it in Tokyo at Cine Switch Theater.  (-showing from June 2, 2012). Other theater in Japan will start showing from today (June 30, 2012) and/or coming soon.

This is my movie review (in Japanese.)

「太陽」「モレク神」「牡牛座レーニンの肖像」など、これまで指導者・権力者を描いたソクーロフ監督の映画に特に関心があったわけではないが、同じく、ゲーテの『ファウスト』に関係する映画には興味がある。米国では公開していないアレクサンドル・ソクーロフ監督の『ファウスト』を、今回、東京のシネスイッチ銀座で見た(2012年6月2日から公開中、7月13日まで)。2011年・第68回ベネチア国際映画祭でグランプリの金獅子賞を受賞した作品だ。スクリーンのテロップに、「ゲーテの『ファウストから自由に翻案」とあったように、ゲーテの「ファウスト」を、ロシアのソクーロフ監督が自由な解釈で映像化したものだ。

Official website:
http://www.cetera.co.jp/faust/

* ちなみに、私のシリーズFAUSTUSは、元々のラテン語のfaustus =「幸運な、祝福された」を意味し、血の契約とは関連があるが、人物のファウスト博士とは直接関係はない。作品中のタイトルに使用したpactum(パクトム)とは、ラテン語で「契約」の意。

ソクーロフ監督の映画『ファウスト』は、生きる意味、魂のありかを求めるファウスト博士が、冒頭いきなり死体から臓器を取り出すというグロテスクな映像から始まる。19世紀のドイツが舞台だが、140分とおして、「臭い」、「金がない」というセリフの多さ、ファウスト博士も貧困に苦しみ、死体、ソンビのような生き物がよく出てきて、個人的には結構きつかった。グロさと美、じめっとした暗いシーンと露出オーバー気味の黄金色のまぶしいシーンとの対比はともかく、正方形に近いスクリーンは、(意図的カメラワークだとは思うが)時として、人物がゆがみ、効果を狙っているのかもしれないが、見ていてなんとなく落ち着かない。フィルターがかかりモワモワっとした緑っぽい映像は、Facebookなどでおなじみのインスタグラム(Instagram)での画像を思わせる。(インスタグラムは2010年10月が初版) 個人的には使用したことはないが、誰でも簡単に効果的な映像・画像が作り出せるアプリケーションソフト世代に思わず苦笑。

ファウスト博士が書面にサインをする例のシーンは前半にも出てくるが、前半は借りたインクで。ファウスト博士が貧困に苦しみ、お金がなくて署名するインクも買えないというのが、なんともいえない。美少女マルガレーテを手に入れるために(欲望を満たすために)、自分の魂と引き換えとする血の契約のシーンは、後半になってからやっと登場する。ゲーテの原作に登場する悪魔のメフィストに代わって、同映画では、高利貸の男マウリツィウスが悪魔役。この男の悪魔を思わせる退化したしっぽ、『Charlie and the Chocolate Factory (チャーリーとチョコレート工場)』や『Pirates of the Caribbean(パイレーツ・オブ・カリビアン)』のジョニーデップの演技を思わせるヒョコヒョコとなんとなくコミカルに歩く男のキャラクターは印象的だった。ファウスト博士とこの高利貸の男との掛け合いも、ドイツ語そのものを理解すればもっと面白いのだろうが、字幕では限界があるようだ。

地獄を思わせる薄暗い河岸で、死んだはずのマルガレーテの兄がでてきて、彼を殺したファウスト博士に、礼を言う。なぜ殺したのに礼を言われるのかと問うファウスト博士に、高利貸(悪魔)は、「戦争やしがらみで生前は辛かったからね」と答える。人生の重さを感じる返答だ。

ファウスト博士がマルガレーテを見そめるというストーリーだが、う〜む、欲求とか愛情などの感情がそこまで伝わってこなかったのが残念。微妙な心の動きや激しくも抑えた感情をうまく表現しているいわゆる米国映画やドラマに慣れているせいなのだろうか・・・。

ロジカルに順序立てて、こうでこうでという説明的なストーリーではなく、監督も「感性で見れば分かりやすい」というように、いわゆるハリウッド映画をみるように普通の感覚で見ると、かなり「???」という疑問を残すような意味不明の場面も少なくない。アーティスティックな編集や流れは、こういうインディペンデント系の映画なので、それがいいのだとは思う。が、哲学が好きな人でも、全てを理解するには、普段の生活では使わないような感性を要する映画だと思う。

上映終了直後、映画の理解を深めようと、劇場の廊下に貼られた雑誌や新聞の映画評に人が集まっていたのには妙に納得してしまった。

血で描いた絵や血の凝固の神秘性ほか、現実にあった背景やストーリー、コンセプトを元に写真作品にした私の「ファウストス」も、日本では、きっとなかなか理解してくれる人は少ないだろうとは思うが、この映画を見たら、(巨匠監督と比較するのはおこがましいのは分かっているが)、私の作品の方がまだシンプルで、普通の人にも分かりやすいのではと思えてしまった。:)

この映画『ファウスト』に対する評価も分かれているように、日本人に快く受け入れられるかはどうかは別として、これがベネチア映画祭で、審査員の満場一致でグランプリを獲得するなど評価されているということは、分かる人が見れば分かるということなのだろう。そういう意味で、この映画を見た後、妙な安堵を感じた。

好きか嫌いかの好みは誰にでもある。それとは別の次元で、こういう作品ほか、自分の専門分野はもちろん、それ以外のさまざまなジャンルの映画を見たり、本を読んだりして、知識だけでなく、感性を磨くことは、アーティストという職業のみならず、人生を豊かにし、生き方を問う上で、どんな人にも役に立つことだと思う。

ちなみにソクーロフ監督の映画『ファウスト』は、福岡や横浜で本日6月30日から、その他全国各地のシアターでも公開中もしくは、順次、近日公開される。自分の目で見て感じでみるのはいいかも。

劇場情報

 

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